マダム・スキャパレッリとして世界的な成功を収める

2011.08.05

日本で出版された『スキャパレッリ』(パルコ出版)という本の中で巡り合った彼女は、私の抱いていたそんなイメージを大きく覆した。そこに載っている彼女はライオンのようなイタリア女などではなかった。面長の細い顔。ほんの少し受けロの小さな唇。そして中年といわれる年齢になっても、どこか傷つきやすさを秘めた大きな瞳。この人が、あれほどシャネルを恐れさせた女性なのか。エルザ・スキャパレッリがアメリカで電撃的に結婚した。夫は哲学者で、子を生んだのは、二十九歳も終りに近い。夫は、アメリカに渡ると無気力になり、失意のまま働くのをやめてしまう。浮気にうつつを抜かす夫。お金も、手に職もなく、どん底の状況の中で、彼女は赤ん坊のために何がなんでも働かなければならなかった。ローマの貴族の家庭に生まれ、美しいものを愛し、引っ込み思案なお嬢さんだったエルザは、この時からマダム・スキャパレッリとして世界的な成功を収めるための第一歩を、知らず知らずのうちに踏み出すのである。

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