手を含めた体のスキンケア

2011.03.31

大学時代、初めてデートした男に「カサカサしてるね、手」と言われた。ショックだった。十二月ごろで乾燥していたせいもあるが、奥手な私は、顔や髪型、服装を整えることには考えが及んだものの、手を含めた体のスキンケアという発想が、すぽんと抜け落ちていたのだ。妊娠や避妊の知識などはもちろんあったが、それ以前にデートで男と手が触れあうことなど、みじんも想像していなかったのだから、我ながらおぼこだった。が、おかげで以来、ハンドクリームを欠かさぬようになり、ひじやひざの角質にも目を向けるようになった。男に触れられるかもしれないという発想が芽生えたことで、ボディケアに目覚めたのである。とはいえ、当時、家事はいっさいしていなかった私ですら、冬には手があれたのだ。まして昔の水仕事に追われる女の人はどうしていたんだろう。奈良時代の『万葉集』にはこんな歌がある。“稲鴇けばかかる我が手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ” 稲を鴇いであれた私の手を、また今夜も、屋敷の若君がとって嘆くだろうか…。
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